ドラマチックな恋愛【上り】
私と彼女の出会いは大学時代のアルバイト。
私が1年生の9月に入り、彼女は既に半年近く働いている同い年の先輩だった。
そのバイト自体はお互い大学卒業まで続け、年数が経つ度に徐々に仲良くなった。
彼女、私、私と仲のいい男の後輩、別の女の後輩、計4人でよく飲みに行った。
しかし当時は、特に恋愛感情はなく、気になるということも全く無かった。
それに向こうには長年付き合っている彼氏がいる。どうやらマンネリ化しているようだが…
ちなみに男の後輩にも1年以上付き合っている彼女がいる。
私と女の後輩は恋人はいない。
ただの仲良しグループのまま卒業、そして就職。
就職して半月程度の頃、私は彼女がどうしてるか単純に気になり連絡をとってみることにした。
どうやら仕事がかなりキツいらしく疲れた様子。
気分転換でドライブに誘い、行くことになった。
私と彼女は音楽の趣味も多少あったため車内でただ音楽を聞くためのドライブ。でも目的地くらいあった方がいいと思い、江ノ島へ行くことにした。
だが、正直私と彼女は2人で遊ぶような仲ではなく、嫌がられてはいないか少し不安だった。
しかしドライブ当日、思いの外楽しんでいる姿が見えた。彼女の目が輝いていた。
私はとても嬉しかった。私の不安は意味の無いものであった。
それなら。
と思い、2人で遊ぶ計画を立て、何度か飲みに行ったり、日帰りで遠出をしたりした。
最初は何の感情もなかったが、回を重ねるごとに私に恋愛感情が芽生えてしまったのだった。
しかし向こうには長年付き合っている彼氏がいる。
でもこの感情をどうにかしたい。
そう思った私は次に会ったら気持ちを伝え、振られて楽になろうと決意した。
……会うまであと2日
その日に急にラインが飛んできた。
「別れた」
その文字を見た瞬間、心臓をグッと掴まれるかのような感覚に陥った。
正直嬉しかった。
マンネリ化していたことや、彼女自身ドライな性格だったのに対して彼氏が少し粘着質だと言う話は聞いていた。
それが原因だったようだ。
だが個人的に別れたばかりの相手に告白するのは気が引けた。
別れたから急に狙いだしたと思われるのが嫌だったのだ。
翌々日、私は気持ちを伝えることが出来なくなかった。
まあ焦る必要はない、ゆっくりと進めていこう。
そう思ったのも束の間、彼女が別れたことで動き出す男がいた。
告白のチャンスを逃して約1週間後、彼女から困惑した様子で「こんなこと言われたんだけどどうしよう」という文と画像が送られてきた。
それは後輩とのラインのやり取りだった。
そこには「好きです。付き合ってください。」と真剣な想いが綴られていた。
先程述べた通り、そいつには1年以上付き合っている彼女がいたはずだ。
それが一体なぜ…
どうやらそいつも彼女にマンネリ化していたらしい。
確かに、過ぎてみればそんな感じはしていた。
私は焦った。
これは私自身が止めなければならない。
「ダメだよ、俺もお前のこと好きだから」
そう言って私は止めた。
本当は1週間前告白しようとしたことも全て伝えた。
とりあえず後輩とのいざこざを片付けてからでいいから返事をくれるように頼んだ。
……そしてその1週間後
後輩との一件は落ち着いたようだった。
そして
バイト先で出会ってちょうど4年の9月、
私と彼女は交際を開始するのであった。
【下り】に続く…